厚生労働省は24日、児童相談所が2022年度に児童虐待の相談を受けて対応した件数は、昨年こども家庭庁が速報値として発表した21万9170件から約4千件減り、21万4843件だったと福祉行政報告例で公表した。速報値発表後、一部自治体で記入要領に沿わない報告があることが判明し、再集計した。

件数は1990年度の統計開始以来、毎年増加している。加藤鮎子こども政策担当相は24日の記者会見で「児童虐待の動向を把握するために参照される統計に、国として求める数値とは異なる数値が報告されていたことは問題。今後は適切な取り扱いがなされるよう、改善すべき課題だ」と述べた。

こども庁によると、自治体からの報告内容に、児相が対応した結果虐待ではないと判断した事例などが含まれていることが分かり、修正報告を求めて集計し直した。

速報値から大きく減少した都道府県(政令市、児相設置の中核市、特別区を除く)は埼玉1641件、東京1360件、京都521件など。「慣例で報告していた」(埼玉)「記入要領が分かりにくい」(東京)との声があったという。

相談内容の内訳は、心理的虐待が12万8114件で最も多く、全体の6割近くを占めた。次いで身体的虐待4万9464件、ネグレクト(育児放棄)3万4872件、性的虐待2393件の順で、速報値と傾向に変化はなかった。

21年度以前の件数も下方修正の可能性があり、今後、自治体に報告を求める。23年度の件数は本年度内の公表を目指す。〔共同〕

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