東京大は24日、2025年4月の学部入学者から授業料を2割引き上げ、現行の53万5800円から64万2960円にすると正式に決定した。東大の授業料値上げは05年以来、20年ぶり。国立大の財務状況は逼迫(ひっぱく)しており、東大の値上げは他大学の判断に影響を及ぼす可能性がある。
国立大の授業料は文部科学省が定めた標準額の2割を大学の裁量で上乗せできると規定されている。今回の値上げは現行の規定で最大幅の値上げとなる。
学費は法科大学院を除く修士・専門職学位課程でも引き上げるが、実施時期は29年4月からとした。博士課程の学費は据え置いた。
東大によると、19日に役員会が値上げ案を承認。24日に藤井輝夫学長が決裁した。藤井学長は「学生から寄せられたさまざまな意見・質問にも真摯(しんし)に対応してきた。全学の諸会議に諮り、基本的な了承を得られた」とのコメントを発表した。
値上げを巡っては、一部の学生らが「意思決定が学生抜きで行われた」などと抗議する動きも広がっていた。平行線のままの正式決定は、学生と大学当局との間に禍根を残す可能性もある。
学費値上げに伴い、学生の支援策を拡充する。学部生では授業料全額免除の対象を現行の世帯収入400万円以下から600万円以下に拡大。600万超~900万円の学生についても出身地など個別の状況を勘案して一部免除する。【斎藤文太郎】
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