大阪府警本部=藤田剛撮影

 フィリピンを拠点とする犯罪グループ「JPドラゴン」が関与した特殊詐欺事件の被害金を回収していたとして、大阪府警は25日、グループのメンバー、鹿児嶋孝之容疑者(56)=福岡県新宮町=を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の疑いで逮捕したと発表した。容疑者はグループの幹部とみられ、府警は日本国内での詐取金を容疑者が集め、フィリピンに運搬していたとみている。

 JPドラゴンは元暴力団員らがフィリピンで組織したとされ、警察の摘発を逃れるためマニラなどを拠点に特殊詐欺を繰り返していたとされる。府警特殊詐欺捜査課によると、府警はこれまでの特殊詐欺事件で鹿児嶋容疑者を含むメンバー男女13人を検挙。少なくとも約4億円の被害が確認されているという。

 鹿児嶋容疑者の逮捕容疑は2022年7月、JPドラゴンが関与した特殊詐欺事件で、栃木県と愛知県の被害者2人から詐取した現金約204万円を含む約4127万円をメンバーから受け取ったとしている。府警は認否を明らかにしていない。

 JPドラゴンは19年、全国で広域強盗事件を起こしたとされる「ルフィ」グループがフィリピンに置いていた拠点を襲撃していたことも確認されたという。この場所は特殊詐欺の被害者に電話を掛ける「掛け子」の参集拠点だったといい、府警は両グループの関連を調べる。

 鹿児嶋容疑者は22年7月に成田空港からフィリピンに出国。24年3月にフィリピン当局に身柄を拘束された。日本に強制送還された6月以降、共謀して警察官になりすまし、キャッシュカードを詐取したなどとする窃盗や詐欺の容疑で福岡県警が5回逮捕。府警は24日に福岡県警南署で容疑者を逮捕し、府内に身柄を移送していた。【岩本一希、川地隆史】

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