岸壁に横付けされた棒受け網漁船から水揚げされるサンマ。この日だけで1000トン近い水揚げがあった=北海道根室市の花咲港で2024年9月25日午前5時12分、本間浩昭撮影

 近年、記録的な不漁が続いているサンマ漁だが、水揚げが14年連続日本一の北海道根室市の花咲港で25日、5年ぶりに1000トン近い水揚げがあった。港と水産加工場を結ぶ道路にサンマを満載したトラックからもれた水氷によるわだち「サンマロード」が出現した。

 この日、花咲港に水揚げしたのは、大型船13隻で計955・1トン。水揚げしていた甲板員(59)は「これまでは3夜前後の操業でせいぜい30トンだったが、今回は一晩で100トン近い水揚げがあった」と破顔一笑。浜は久しぶりに活気づいた。

 この日は計5回の競りが行われたが、午前7時の競りで高値は1キロ378円で、前日の7割ほどの浜値に落ち着いた。

 漁業関係者によると花咲港から東北東へ約1000キロの公海に比較的まとまった魚群があった。付近の水温は12・8度とサンマの好む水帯で、魚体も100グラム以上が半数以上を占めているという。

 花咲港で1000トン級の水揚げは、2019年11月以来5年ぶり。近隣の厚岸港、釧路港の水揚げを加えると、道内だけで約1175トン(速報値)になる。さらに三陸の釜石、大船渡など4港で500トン近い水揚げもあり、全体として1日で1500トン以上の水揚げがあったことになる。

 今年序盤のサンマ漁は、漁場に近い花咲港で約500トンの水揚げがこれまでに3回あった。だが、それ以外は200トン前後で推移していた。漁場が例年よりやや近く、ここ数年に比べれば水揚げは上向いているものの、水産庁は今年の漁況について「昨年並み」と予測しており、好漁が続くかどうかは不透明だ。【本間浩昭】

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