1966年の静岡県一家4人殺害事件で、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)の裁判をやり直す再審判決公判で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は26日、無罪を言い渡した。戦後、死刑事件の再審無罪は5例目。これまでの4例は検察が控訴せず確定している。袴田さんの再審で、検察は改めて有罪を主張し死刑を求刑しており、控訴するかどうかが今後の焦点となる。
袴田さんは確定前の裁判から一貫して冤罪を訴えてきた。長期収容による拘禁症状が残り、昨年10月に始まった再審公判は出廷を免除され、代わって姉ひで子さん(91)が出廷していた。
確定判決が犯行着衣と認定した「5点の衣類」に残った赤みが主な争点だった。1年以上みそに漬かった衣類について再審開始を認めた昨年3月の東京高裁決定は「赤みは残らない」とする弁護側鑑定の信用性を認め、捜査機関が捏造した可能性が極めて高いとした。
検察側は再審で新たに専門家の共同鑑定書を提出。「赤みが残る可能性は否定できない」と主張。弁護側は、衣類は捜査機関が隠したと指摘した。(共同通信)
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