再審無罪判決を報じる新聞各紙を見る袴田巌さん(右)と姉秀子さん=浜松市で2024年9月27日(袴田さん支援クラブ提供)

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われ死刑が確定した袴田巌(いわお)さん(88)に対するやり直しの裁判(再審)で、静岡地裁の無罪判決(求刑・死刑)から一夜明けた27日、姉の秀子さん(91)は浜松市の自宅前で取材に応じて「うれしかった。素晴らしい一日でした」と振り返った。

 支援者によると、秀子さんは帰宅後の26日夜、巌さんに「今日はいいことがあった。無罪の判決が出た。あんたが勝った。あんたの言う通りになった。安心しな」と伝えた。「再審無罪になった」「分かった?」と繰り返したが、巌さんは言葉を発しなかった。

 秀子さんは27日朝、新聞各紙の1面を巌さんに見せて「良かったね。これから、みんなにおめでとうと言われるよ」と話しかけた。巌さんは無言で新聞を見つめていたが、秀子さんは「なんとなく表情が明るくなった。たぶん分かっているのかな」とも感じた。

 無罪判決後、支援者からメールや花、電報が届いた。この日の昼食は巌さんとすしを食べて祝うという。秀子さんは、検察が控訴するかどうかについては「気にしていない」と話した。【山田英之】

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