東京・中野区のシンボルだった「中野サンプラザ」。
その跡地の再開発計画を巡り波紋が広がっています。
建設費用が当初の計画の2倍近くになる見通しだといいます。
なぜこのような事態になったのでしょうか。
中野サンプラザの跡地に建設が予定されているのは、複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」。
地上61階、高さ262メートルの高層ビルに商業施設や最大7000人規模の大ホール、ホテルやマンション、オフィスなどが入る複合施設で、2029年度中に完成する予定です。
そして、地元の人からも期待の声が次々とありました。
80代:
中野にこういうのがあるんだなって、中野に人が集まってくる。活性化すると全然違う。
20代:
(中野サンプラザの閉館で)町の雰囲気が寂れてるじゃないけど、寂しいなと思う。あるだけで中野が盛り上がるのかな。
1973年にオープンし、三角形のデザインが特徴的な中野サンプラザ。
結婚式や成人式会場として利用されてきた他、コンサートホールでは数々のアーティストが公演。
中野のランドマークとして、地元民ならず多くの人に愛されてきました。
しかし老朽化などによって、2023年、惜しまれつつ閉館。
50年の歴史に幕を下ろしたのです。
その跡地や周辺に建設が予定されている「NAKANOサンプラザシティ」。
当初の予定では9月中には着工が始まっていたはずですが、30日、現場に行ってみると、いまだ解体作業も始まっていません。
その理由が、資材確保や人件費の高騰などによる度重なる建設費用の引き上げです。
事業計画が提案された当初は1810億円でしたが、見直しが繰り返されるたびに増額。
そして9月、施工主から中野区に工事費がさらに900億円以上増えると伝達があり、当初予算の2倍近くの3539億円になる可能性が出てきたのです。
中野区は当初、430億円の補助金を投じる予定でしたが、建設費用の大幅な増額に中野区民からは「中野区全体が発展するかもしれないのでメリットはあると思うが、そこまでお金かけてやるべきことなのかな」「個人的には反対。こんなお金があるなら他に使ってほしい」「不確実性が高い世の中なので、最初に予定した通りには進まないと思うので想定金額に差ができるのは仕方ない。詳細を区民がわかりやすく理解できる説明があればいいと思う」など、さまざまな声がありました。
では、度重なる引き上げに区はどのように対応するのでしょうか。
中野区担当者は「今回900億円以上の建設費用が増えるとわかったことで、計画内容や補助金額の見直しの検討が必要だとわかった」とコメント。
2024年度内の着工と2029年度中の完成の見通しが立たなくなり、再開発事業計画自体の見直しも視野に検討するということです。
ただそうした中、中野駅周辺の商店街で長年、総菜店を経営している店主からは切実な声もありました。
中野区で78年営業・健康食卓 わしや 店長:
イベントとかコンサートがあると、お客さんがどかっと来るので全然違う。お総菜買って帰られる方が多かったので、1.5倍くらい違う。ある程度、人件費の高騰とかは予測できたと思うので、それが理由でやりませんっていうのはおかしい。
さまざまな声が上がる中、再開発計画がどうなっていくのか、今後の動向に注目です。
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