36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で死刑判決を言い渡された青葉真司被告(46)側が、刑事責任能力があるとした一審・京都地裁の判断に誤りがあるとする控訴趣意書を大阪高裁に提出したことが3日までに、関係者への取材で分かった。

一審に続き、控訴審でも責任能力が争点になる。初公判の期日は決まっていない。

一審公判で検察側は、被告が妄想性パーソナリティー障害だったとした起訴前鑑定結果から「完全責任能力がある」と主張したが、弁護側は妄想性障害があったとした起訴後鑑定を基に「心神喪失や心神耗弱状態だった」と訴えた。

今年1月の地裁判決は起訴後鑑定を踏まえ被告に妄想性障害があったと認め、動機の形成に影響したと認定。しかし犯行においては「妄想の影響はほとんど認められない」とし、善悪を区別して犯行を思いとどまる能力は「多少低下していたとしても、大きな減退まではなかった」と完全責任能力を認めた。

関係者によると、控訴審で弁護側は起訴後鑑定自体は問題とせず、犯行における妄想の影響に対する裁判所の評価を争う。一審に続き、被告に完全責任能力があったとしても絞首刑は残虐で違憲とする主張もする。

一審判決によると、19年7月18日午前10時半ごろ、社員ら70人がいた京都市伏見区の京アニ第1スタジオに侵入し、社員やその周辺にガソリンを浴びせかけ放火。36人を殺害し、32人に重軽傷を負わせた。〔共同〕

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