高齢化が進む戦争体験者の生の声を聴き、戦争の悲惨さを学ぼうと札幌市の高校生が手作りの研修会を開いた。はたして人は集まるのだろうか。
「(自分たちが)最後の世代と聞いて、被爆者の生の声を聞いてみたいなと思い企画した」(札幌東高校図書局 堀内蓮さん)
「被爆体験講話」を企画 きっかけは"強い危機感"
この記事の画像(4枚)札幌市白石区の札幌東高校。部員9人の図書局だ。生徒向けのある催しを企画した。きっかけは強い危機感からだ。
「北海道被爆者協会が解散すると、被爆者の話を聞く機会がなくなってしまう」(札幌東高校図書局 三好莉子さん)
会員の高齢化を理由に2025年、北海道被爆者協会が解散することを知り、動き出した。生徒向けの研修会「被爆体験講話」を企画し、ポスターも作成。しかし、不安が募る。
「そもそも興味を持って図書館に来る生徒がどれだけいるか。戦争の悲惨さを学ぼうという考えを持つ人が、今の世代にどれだけいるか」(札幌東高校図書局 三好さん)
原爆体験者が語る戦争の悲惨さ
当日、予想外のことが起こった。会場となった図書館には、想定の倍となる65人が集まった。図書局の熱意に協力してくれたこの日の講師は金子 広子さん(84)だ。
「5歳のとき爆心地から3キロで被爆した。体中7カ所も大手術しています」(広島市で被爆した金子広子さん)
金子さんは79年前に広島市で被爆した。1945年8月6日、第二次世界大戦末期、日本と戦っていたアメリカ軍は広島市に原子爆弾を投下。その年、約14万人が亡くなったと推計されている。
「亡くなった人は半こげになってね、電車の中で倒れてた。(原爆が落ちたとき)盆栽のガラスが腕に刺さって、テーブルの上は血だらけ」(金子さん)
残された大切な記憶 新たな世代へ
教科書にない体験者の言葉に生徒たちは。
「いま自分が受けている幸せとか平和を当たり前だと思ってはいけないと思った」
「今日聞いた話を下の世代につなげていけたら」(いずれも参加した生徒)
「とにかく戦争はだめ。その一点張りですね。話を参考にして戦争反対の声を上げてほしい」(金子さん)
悲惨な戦争を繰り返さないために。
残された大切な記憶を語り継ごうとする新たな世代。
「(図書局の企画で)生徒同士で戦争や被爆を話し合う企画を検討」(札幌東高校図書局 渡辺優月さん)
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