公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 自社が提供するクラウドサービスに蓄積されたデータの移行を制限し、競合他社サービスへの乗り換えを妨害したとして、公正取引委員会は3日までに、三菱商事の100%子会社「MCデータプラス」(東京都渋谷区)の独占禁止法違反を認定し、問題行為を取りやめた上で再発防止を求める排除措置命令を出す方針を固めた。すでに同社に通知したという。関係者への取材で判明した。

 関係者によると、同社はゼネコン向けに労務安全業務を効率化するクラウドサービスを展開。ユーザー企業が入力した建設作業員の各種資格や健康診断結果などのデータを蓄積・管理している。

 こうしたデータは競合他社のサービスへの移行が技術的には可能にもかかわらず、同社は遅くとも2020年以降、ユーザー企業に対し、個人情報の保護などを理由に移行を拒否していた。データは作業員1人当たり100項目程度に上り、移行を拒否された企業の中には、再入力のコスト負担などから乗り換えを断念したケースもあった。

 公取委は近年、データ市場の寡占化に対する監視を強化しており、同社の行為を、独禁法が不公正な取引方法として禁じる「取引妨害」に該当すると判断した模様だ。

 ゼネコン向けクラウドサービスの国内市場規模は50億円(23年度)。三菱商事が開拓したとされ、15年に分社化されたMCデータプラスは同種事業で国内最大手となっている。【渡辺暢】

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