宮城県丸森町で開かれた2019年台風19号の犠牲者追悼式で、黙とうする遺族ら(12日午前)=共同

2019年に東日本を縦断し、13都県で120人近い死者・行方不明者が出た台風19号(東日本台風)は12日、上陸から5年となった。宮城、福島両県では2世帯7人が今なお仮設住宅で暮らす。11人が亡くなり1人が行方不明となった宮城県丸森町は追悼式を開き、災害からの復興と教訓継承を誓った。

式では遺族や町関係者ら約80人が黙とう。保科郷雄町長は「記憶を後世につなぎ、安全安心な暮らしができる町を目指す」と式辞を述べた。親族3人を亡くし、妹の行方が分からないままの天野民子さんは式典後、実家の跡地に建てた碑を訪問。「草が生い茂って妹を捜すことができなくなってしまった。体が動く限り通い続け、4人と昔話をしたい」と話した。

台風19号は19年10月12日夜、静岡県の伊豆半島に上陸。各地で土砂災害や河川氾濫による浸水被害が相次いだ。各自治体によると、災害関連死を含め116人が死亡。宮城、茨城両県で3人が行方不明となっている。このほか川崎市沖合でパナマ船籍の貨物船が沈没、乗組員8人が死亡したが、神奈川県などは災害による死者数に計上していない。

丸森町では被災者の自宅再建や災害公営住宅への入居が進み、今年4月までに仮設住宅の入居者が全員退去した。山あいの地区の道路復旧や河川の土砂災害対策は現在も続いている。〔共同〕

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