2017年5月に北九州市小倉北区でアパート「中村荘」が全焼し6人が焼死した火災で、福岡地検小倉支部が、現住建造物等放火容疑などで逮捕された元住人の井上浩二容疑者(56)を勾留満期の17日にも同罪などで起訴する方針を固めたことが関係者への取材で明らかになった。地検小倉支部が放火罪に加え、殺人罪でも起訴することを視野に上級庁と最終調整していることも判明した。
井上容疑者は17年5月7日午後11時10分ごろ、小倉北区清水2の木造2階建てアパート「中村荘」(延べ約283平方メートル)に侵入し、何らかの方法で放火して全焼させたとして逮捕された。入居者の6人が焼死し、5人が重軽傷を負った。
一方、井上容疑者は容疑を全面的に否認。福岡県警は多くの防犯カメラ映像をつなぐ「リレー捜査」などで不審な人物を追跡し、井上容疑者を特定したとされる。
関係者によると、検察当局も放火罪の立証は可能と判断した。殺意の有無については慎重に捜査しているが、井上容疑者が過去に中村荘に入居していたことを重視。建物の構造を把握し、夜間に築50年以上の木造アパート内部に放火すれば死傷者が出ると予見できたとして「未必の故意」による殺意があったとの見方を強めている。火元は正面玄関に近い1階の通路とみられ、2階の窓から飛び降りるなどして避難した人もいた。こうした状況から、殺人罪や殺人未遂罪でも起訴する方向で上級庁と最終調整している模様だ。【志村一也、河慧琳、井土映美】
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