【宮古島】宮古島市全域で25日午前3時過ぎから8時間半も続いた大規模停電。台風と違い、突然降って湧いたような事態に、市民は困惑し、混乱した。(宮古支局・當山学、社会部・玉那覇長輝)

 宮古そばの久松製麺所は午前3時前の仕込みから2度の停電に遭った。通常8時の配送が正午過ぎになり、仲宗根正浩代表(62)は「遅れたが、無事に復旧して良かった」と安(あん)堵(ど)した。

 ある食堂は定食の野菜を仕入れられず、前日の残りの宮古そばを中心に提供した。60代の店主は「今回ほど長くないが、1年ぐらい前にも停電があった」と不満をぶつけた。

 各家庭でも、炊飯予約した米が炊けていないなど、慌ただしい朝となった。昼過ぎには給食が準備できない学校が休校になり、ある女性(43)は小学生の子ども2人を仕事の移動中に迎えてカップ麺を食べさせた。「忙しかった」と苦笑した。

 通学時間帯の交差点では教員や住民が交通整理に当たった。宮古高、平良中、平良第一小の近くに住む富永洋子さん(65)は「このぐらいしかできないが、子どもたちが無事で良かった」と話した。

 住宅地にあるスーパーなかそねは食品が傷まないよう冷蔵庫や冷凍庫は閉めたままにして、常温の水やパンを販売した。レジが使えず電卓で会計したり、懐中電灯で商品を探したりと対応に追われた店主の仲宗根秀彰さん(60)は「台風以外でこんなに長い停電は初めて。原因が分からなければ、また起こるかもしれない」と不安げだった。

 自家発電で営業したサンエー宮古島シティには客が殺到した。城辺に住む会社員の女性(36)は「早く来たつもりが、目当ての弁当はなかった。高価で普段は残っていることの多いうな重も売り切れていた」と驚いた。

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