首都圏で相次ぐ強盗などの事件を巡り、栃木県や札幌市でも関連が疑われる事件が起きていたことが捜査関係者への取材で判明した。一連の事件では、指示役とみられる人物の通信アプリのアカウント名は「織田信長」や「夏目漱石」が使われていた。警察当局は同じ指示グループが広域で起きた事件に関与したとみて調べる。
捜査関係者によると、8月以降に東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県で起きた11件では、実行役らが秘匿性の高い通信アプリを通じて、少なくとも30個のアカウントから指示を受けていたとみられる。
新たに関与が浮上した事件のうち、栃木県芳賀郡では9月11日に住居侵入未遂事件が発生した。この事件で指示役は「織田信長」や「明智光秀」「徳川家康」といった歴史上の人物名のアカウントを使っていたとみられる。
「織田信長」は東京都練馬区で前日の9月10日に男性が連れ去られた逮捕監禁致傷事件でも使われていたとされる。
また10月5日には札幌市豊平区で強盗致傷事件が起きていた。何者かが住宅の窓を割って押し入り、住人の高齢男性が粘着テープで縛られていた。こうした手口は、首都圏で相次ぐ事件と共通している。
一方、一連の事件が注目されるきっかけとなり、9~10月に練馬区、東京都国分寺市、埼玉県所沢市で起きた三つの強盗致傷事件では、いずれも「夏目漱石」のアカウントが用いられたことが確認されたという。
この他の事件でも「赤西」が8~9月のさいたま市西区、千葉県八千代市、神奈川県厚木市と鎌倉市の4件の事件で使われていたとみられる。「小山豊」も厚木市の事件など4件の事件で使用されていた。人気アニメのキャラクター「Drヒルルク」も複数の事件で確認されたという。
9月28日の練馬区の強盗致傷事件では九つのアカウントが使われており、指示役はグループでアカウントを使い分けていた可能性もある。
一連の事件は、首都圏以外にも拡大しているとみられる。警察当局は東北地方などで起きた事件でも関連が疑われるとの情報を得ており、「闇バイト」で募った実行役らが入れ替わりながら広域で強盗などを繰り返しているとみている。
警視庁と埼玉、千葉、神奈川の4都県警は18日に合同捜査本部を設置し、指示役の特定を進める。【岩崎歩、菅健吾】
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