創業家のファミリー企業への寄付や担保解除で銀行に損害を与えたとして、スルガ銀行(静岡県沼津市)が旧経営陣らに損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁は25日、請求を棄却した。菊池絵理裁判長は判決理由で「本件寄付は諸般の事情を考慮した場合、合理的な範囲を超えるものと認めることはできない」とした。
判決によると、スルガ銀は平成25~29年、創業家出身の岡野光喜元会長が代表理事を務める美術館にCSR(企業の社会的責任)事業の一環として約47億円を寄付。
訴訟で銀行側は、その寄付の多くがファミリー企業の借金弁済に充てられ、岡野氏の実弟で副社長を務めた故喜之助氏の主導だったと主張したが、菊池裁判長は「寄付金額が不当であったとは認められない」などとした。
これらの寄付を巡っては、外部弁護士らによる調査委員会が岡野氏らの法的責任を認定したことから、スルガ銀は18年12月に提訴した。シェアハウス向けの不正融資問題で多額の損失を招いたとして旧経営陣に総額35億円の賠償を求めた訴訟は静岡地裁で係争中。
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