高齢男性が倒れているのが見つかった住宅を調べる捜査員ら(16日、横浜市青葉区)=共同

関東で多発する広域強盗事件を受け、警視庁と神奈川、埼玉、千葉の4都県警は18日、合同捜査本部を設置した。4都県の14事件を重点的に捜査する。一連の事件にはSNSを通じ集散する「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」が関与しているとみられる。被害の抑止に向け指示役や首謀者の摘発を急ぐ。

警察庁によると、18日時点で9事件の実行役ら計28人を逮捕した。実行役の多くは「闇バイト」の求人に応募し、秘匿性の高い「シグナル」などのアプリで指示役とやり取りをしていた。指示役の逮捕には至っていない。

捜査関係者によると、一部の事件では「夏目漱石」や「赤西」など共通のアカウントが使われていた。同じ指示役が複数の事件に関わった可能性がある。

各事件の実行役は現場を管轄する警察が継続して捜査する。合同捜査本部は関連する情報を集約し、指示役や首謀者の特定をはかる。

一連の広域強盗は人命が奪われる深刻な事態に発展している。

横浜市青葉区の住宅では16日、住人男性(75)が死亡した状態で発見された。神奈川県警によると死因は全身打撲による出血死で、現金約20万円が無くなっていた。県警は17日に強盗殺人事件と断定し、青葉署に特別捜査本部を設置した。

千葉県市川市で17日に判明した住宅荒らしでは、犯行グループが住人の50代女性を一時連れ去った。女性は埼玉県内で保護され、千葉県警が一緒にいた住所職業不詳の藤井柊容疑者(26)を監禁容疑で現行犯逮捕した。

捜査関係者への取材で、藤井容疑者の指紋が横浜市青葉区の強盗殺人事件の現場住宅で見つかったものと一致したことが分かった。警察は関連を調べている。

千葉県市川市の住宅荒らし事件で監禁容疑で現行犯逮捕された藤井柊容疑者㊨(17日午後、千葉県市川市)=共同

闇バイトで実行役を募るトクリュウは近年、治安情勢の脅威となっている。2022〜23年には「ルフィ」などを名乗る指示役の下で強盗事件が相次ぎ発生した。

当時の捜査で警察は、アプリの通信記録やアカウントにひもづいた電話番号、犯罪収益の送信先口座などを解析し、フィリピンから指示を出していた幹部の関与を特定した。今回の広域強盗でも、通信記録や資金の流れの解明がカギになるとみられる。

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