能登半島の記録的豪雨で犠牲となった喜三翼音さんの自宅周辺に供えられた花束(21日午前、石川県輪島市久手川町)=共同

能登半島を襲った記録的豪雨から1カ月となった21日、被害の爪痕が残る半島各地で住民らが犠牲者を悼んだ。石川県輪島市は防災無線で市民に黙とうを呼びかけ。一帯は穏やかな快晴に覆われていた。

輪島市役所では午前9時半、坂口茂市長と総務課の職員らが立ち上がり、30秒間目を閉じた。市内の仮設住宅では、屋外に出て黙とうする住民の姿が見られた。豪雨で亡くなった同市久手川町の中学3年、喜三翼音(きそ・はのん)さん(14)の基礎部分だけになった自宅周辺には、花束やお菓子などが多く供えられていた。

翼音さんの通学を毎朝見かけていたという男性(79)は「あいさつするとニコッと頭を下げてくれた。家族は本当につらいだろう」と声を詰まらせた。

珠洲市若山町広栗の羽田登喜雄さん(72)は自宅ごと土砂崩れに巻き込まれ、亡くなった。近くの女性(84)は大量の雪が積もった数年前、羽田さんに自宅周辺を除雪してもらった。「元気で良い人だったのに、突然逝ってしまった」。木々に押しつぶされ、道路を覆うように倒れたままの羽田さんの家を見つめ、悔やんだ。〔共同〕

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