沖縄県南城市役所内のハラスメント問題を検証する第三者委員会が委員5人の氏名を「当面の間は非公表」と決めたことを受け、委員を推薦した4団体に対して本紙が氏名を問い合わせたところ、いずれも応じなかった。委員長と副委員長が所属する沖縄弁護士会は「お伝えする立場にはない」と回答した。

 他の委員3人の所属は県社会保険労務士会、県公認心理師協会、南部地区医師会。「委員を推薦したのは事実だが個別の案件なので差し控える」などと21日までに回答した。

 第三者委は第1回会合で「外部からの情報をシャットアウトして議論したい」との意見が一部の委員から出たため、氏名を非公表にしたという。一方、ハラスメントの被害を訴える市職員から直接事情を聴く際には委員が身分を明らかにする必要があるとして、「時期をみて氏名を公表する」としている。

 市民団体「ハートのまち南城 人権ファーストの会」のメンバーは21日、調査対象となっている古謝景春市長との利害関係を懸念し「委員会は独立性・中立性を確保せよ」などのプラカードをユインチホテル南城の前で掲げた。同ホテルでの研修会に参加する市議に向けてアピールした。

■弁護士会内にも疑問の声

 第三者委員会の方針には沖縄弁護士会の内部からも疑問の声が上がっている。

 南城市在住の小口幸人弁護士は「委員の氏名が公表されなければ、第三者委が本当に『第三者』なのか分からない」と指摘する。選挙で選ばれたわけでもない委員が報告書をまとめて市の判断に多大な影響を与えることから説明責任が当然あるとし、「第三者委の位置付け、職責の重大性を理解していないのではないか」と疑問を呈する。

 また「氏名を後で公表するのなら、外部からの情報を一時的にシャットアウトする目的で非公表とするのは合理性にも欠ける」とみる。「取捨選択は必要だが、適切な判断をするには情報が多くあった方がいい」と再考を求めた。(南部報道部・平島夏実)

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