気候変動の悪影響は若者の人権を侵害しているとして、全国の10~20代の男女16人が火力発電事業者10社に二酸化炭素(CO2)の排出削減を求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、名古屋地裁(上村考由裁判長)であった。事業者側は訴えの却下を求めた。
訴状によると、10社は石炭火力発電を2050年まで続けようとし、今後も地球温暖化に寄与して危険な影響をもたらすと指摘。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が掲げる1.5度目標実現の道筋に整合するよう19年度比で30年度までに48%、35年度までに65%削減することを求めている。
原告側は弁論で「(世界目標を超えて)CO2を排出し続けることは人権侵害を引き起こす。30年度を待たず、司法介入が必要」と強調。原告の宮沢カトリンさん(29)=名古屋市=は意見陳述で「私や家族が安全な地球で暮らす権利がほしい」と主張した。
一方、国内最大手の火力発電会社「JERA」など被告10社は「IPCCの排出削減目標が私企業の法的義務を構成するものではなく、不法行為の成否が判断されることは確立されていない。30、35年度の時点で不法行為が存在する可能性を現時点で判断することは不可能だ」と反論した。【道下寛子】
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