同性婚を認めない民法などの規定は憲法違反として、東京都の同性カップルら7人が国に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(谷口園恵裁判長)は30日、規定は憲法に違反すると判断した。一審・東京地裁判決に続き国の賠償責任は認めず、原告側の控訴は棄却した。

全国5地裁で計6件起こされた一連の訴訟で2件目の控訴審判決。3月の札幌高裁判決は「婚姻の自由」を定めた憲法24条1項に違反すると初めて認定するなど踏み込んだ司法判断を示していた。

現行法の下では、同性カップルは法的な婚姻関係が認められない。パートナーの法定相続人になれなかったり、税制上の優遇や遺族年金が受けられなかったりするなどの法的な不利益が指摘される。自治体では性的少数者のカップルなどの関係を公的に証明する「パートナーシップ制度」を導入する動きが広がっている。

原告側は、男女間の婚姻を前提とした民法と戸籍法の規定は、「法の下の平等」を定めた憲法14条や「婚姻の自由」を定めた24条1項、「個人の尊厳と両性の平等に立脚した立法」を求める同条2項に違反すると主張。慰謝料として国に1人あたり100万円の賠償を求めていた。

国側は憲法が保障する婚姻は異性同士のものだけで「国会の裁量の範囲を逸脱しない」と反論していた。

2022年11月の一審・東京地裁判決は「パートナーと家族になるための法制度が存在しないのは、同性愛者の人格的生存に対する重大な脅威、障害だ」とし、24条2項について「違憲状態」にあるとした。一方でどのような法制度を築くかは立法府の裁量に委ねられるとも述べ、現行規定を憲法違反と断じることはできないとした。

一連の訴訟では今回の東京高裁判決までに地裁で6件、高裁で1件の計7件の判決が言い渡された。「合憲」が1件、「違憲」が3件、「違憲状態」が3件と判断は割れており、違憲や違憲状態とした場合でもその根拠とする条文は異なっている。

24年3月の札幌高裁判決は「憲法は同性婚も保障している」と解釈して唯一、民法などの規定は24条1項に違反していると認定。争点となった3つの条文全てに反すると結論付けた。

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