4月施行の日本語教育機関認定法に基づく日本語学校の初審査で、国に申請した72校のうち認定されたのは22校だったことが30日、分かった。約7割が教育課程の内容が不十分などとして〝落第〟となった。全国873校のうち申請はまだ一部だが、準備の遅れが明らかになった。
国は外国人留学生の受け入れ拡大を進める。政府の教育未来創造会議は2023年4月、19年の31万2千人から33年に38万人とする目標を掲げた。23年時点で9万1千人が在籍する日本語学校も入学者の増加が見込まれ、受け皿整備が急務になる。
日本語教育機関認定法により、文部科学省が日本語学校の教育内容などを審査し、要件を満たした学校のみを認定する仕組みができた。施行から5年となる29年春までに認定を受けなければ留学生を受け入れられなくなる。
文科省が初の審査結果を30日公表した。開設を目指す新規校も含め72校が5月中旬の第1回審査の締め切りまでに申請した。認定は22校で継続審査11校、申請取り下げ36校、不認定は3校だった。
審査に当たった中央教育審議会日本語教育部会の浜田麻里部会長は「教育課程の内容が不十分と判断されたものが多かった」と説明。債務超過だったり、校地・校舎が自己所有でなかったりと明らかに認定基準を満たさないものもあったという。
認定された学校も「教員が過重な業務量とならないよう留意すること」「退学者に対する納付金の返還条件を分かりやすく示すこと」などと改善を求められた例が多かった。文科省が今後の実地検査などを通じて対応状況を確認する。
日本語学校はここ十数年で急増した。背景にあるのは政府が08年に策定した「留学生30万人計画」だ。大学や専門学校なども含め留学生は同年の13万9千人から23年の34万1千人に増え、日本語学校は08年の389校から2倍以上になった。
これまで教育内容について国の関与が薄く、教員数の不足や教員の経験の乏しさが問題視されることもあった。
指導の質を底上げするため、日本語教育機関認定法によって教師の国家資格「登録日本語教員」も創設された。これまでは民間の検定試験の合格や養成講座の受講など複数のルートがあった。29年4月以降は国家資格がないと日本語学校で教えられなくなる。
日本語学校の留学生は8割が大学や専門学校に進学し、卒業後に日本国内で就職するケースも多い。少子化で若年人口が減少するなか、日本語学校の質の向上は日本で働きたい外国人の若者を増やし、能力を発揮しやすくすることにつながる。
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