2023年度の問題行動・不登校調査では、小中高校・特別支援学校におけるいじめの認知件数は73万2568件で前年度から7%増え、過去最多を更新した。心身に重い被害を負ったり、長期欠席を余儀なくされたりした「重大事態」の発生件数は1306件。22年度比42%増加で初の1000件超えとなった。

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重大事態のうち38%は、深刻な被害が生じるまで、いじめとして認知されていなかった。文科省担当者は「学校が兆候を見逃したり、教員が一人で抱え込んでしまうことが急増の要因にある」と分析する。教員の多忙や人員不足のほか、学校側が積極的に認定するようになったことも影響しているとみられる。

SNSの普及によりインターネット上での「ネットいじめ」も年々増加している。23年度は2万4678件で最多となり、10年前に比べて2.8倍に増えた。いじめ全体に占める比率は中学生が9%、高校生が16%で学年が上がるほど高い傾向がある。

暴力行為の発生件数は10万8987件で過去最多。小中高校から報告のあった自殺した児童生徒数は397人で、そのうち7人がいじめの問題を抱えていた。

学校だけで対応にあたることが困難な事案が増えていることから、文科省は25年度から警察や校長OBで構成された専門家チーム「いじめ対策マイスター」を20の教育委員会に設置する方針だ。専門性を活かし、事案対処と再発防止につなげる狙いがある。

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