SNSの偽広告などを通じ金銭をだまし取る「SNS型投資詐欺」を巡り、2024年1〜9月の被害額が703億4千万円に上ることが1日、警察庁のまとめで分かった。前年同期比4.7倍で、1件あたりの平均被害額は約1381万円だった。被害件数は5092件で、被害者は50〜70代が全体の67.4%を占めた。
「オレオレ詐欺」など特殊詐欺の年間被害額は14年の565億5千万円が過去最悪で、SNS型投資詐欺が上回った。恋愛感情などを抱かせ主に投資話を持ちかける「ロマンス詐欺」の被害額は、24年1〜9月で271億円と前年同期比の約2.4倍だった。
直近の被害状況をみると9月のSNS型投資詐欺の被害額は61億9千万円で、4月の115億1千万円をピークに減少傾向にある。ロマンス詐欺の被害額も9月は34億5千万円で、7月(44億9千万円)に比べて減った。
警察庁の担当者は「被害情勢は依然深刻だ。詐欺グループが手口を変化させる可能性もあり状況を注視したい」とする。
SNS型投資詐欺の被害者を誘う広告で悪用されたSNSやサイトはインスタグラムが29.8%で最も多く、フェイスブック(17.5%)、投資サイト(14.3%)が続いた。著名人や投資家になりすました勧誘のほか、利回りの良い投資商品を勧める手口もみられる。
なりすまし広告を巡っては、広告の内容が真実かどうかの確認を怠ったとして男女約30人と法人が10月、米IT大手メタ(旧フェイスブック)と日本法人を相手取り、大阪、神戸、横浜、千葉、さいたまの5地裁に訴訟を起こした。
警察庁は1日、24年1〜9月の特殊詐欺の被害状況も公表した。被害金額は411億2千万円で前年同期を32%上回った。
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