職員研修で「腐ったミカン」などと言って退職を迫ったのは違法だとして、学校法人「追手門(おうてもん)学院」(大阪市)の男性職員ら3人(40~50代)が、法人元理事長や研修を請け負った会社などを相手取り、計約3600万円の損害賠償を求めた訴訟は6日、大阪地裁(横田昌紀裁判長)で和解が成立した。法人側が謝罪し、解決金計約9200万円を支払う。
原告側代理人弁護士が明らかにした。訴状によると、法人は2016年8月、3人を含む職員18人を大阪市内のビルに集め、5日間の研修を実施。コンサルタント会社「ブレインアカデミー」(東京都)から派遣された講師が「戦力外なんだよ」「あなたのように腐ったミカンを置いとくわけにはいかない」などと17年3月末での退職を迫り、研修後も理事長だった川原俊明弁護士が退職を求めた。3人はうつ病を発症するなどし休職した。
労働基準監督署は23年1月までに3人の労災を認定。法人は、3人が職員の地位にあることの確認を求めた訴えは受け入れたが、残る損害賠償請求などについて争っていた。
和解条項で、法人は幹部職に対する研修を行うなどの再発防止、同社は研修の場で退職を要求する言動をしないことも約束した。
和解後に大阪市内で記者会見した3人は「謝罪をしっかりしてもらったのは良かった。ハラスメントは職場にあってはならず、ましてや教育機関で起きてはならない」と話した。ただ、研修時に言われたことが今も突然思い出されるなど心身の不調が続いており、1人は復職するが、2人は和解をもって退職する。
法人は追手門学院大(大阪府茨木市)や中学、高校などを運営。和解を受け法人は「和解条項の内容に従って、引き続き再発防止に努める」とのコメントを出した。
ブレインアカデミーは「当事者意識を確立してほしいという思いで誠実に研修を実施したが、委託の趣旨に反する一部不適切な発言を行った」としている。【土田暁彦】
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