石川県庁=金沢市で、日向梓撮影

 能登半島地震で半壊以上になった建物を撤去する公費解体の進捗(しんちょく)状況を石川県が6日公表した。8月に策定した累計数値目標には、わずかに届かなかったが、9月の豪雨災害後の解体班数の増加などで10月の月間値は目標を超えた。ただし、輪島市は完了率が14%にとどまるなど自治体間の差も目立っている。

 10月末時点の数字をまとめた。8月に策定した公費解体加速化プランは、当初想定を上回る3万2410棟の解体が必要になると分析。9月末時点で17%にあたる5432棟の解体を終えることを目標としたが、豪雨災害の直撃を受け、5096棟にとどまった。

 1班4~5人の作業員による解体班の増加に取り組んだ結果、10月29日に目標としていた1120班を確保。同月末時点で当初目標の累計7780棟に近い7734棟の解体を完了した。10月は計画値が2348棟だったのに対し、2638棟を解体したという。

 一方、自治体間の差は如実だ。解体見込み棟数に対する完了率は珠洲市や穴水町で35%台になったのに対し、同じ奥能登地方にある輪島市は14・0%にとどまっている。県は、現地調査を行う専門コンサルタントなど人員の確保が遅れたのが要因とみている。

 また、県は解体加速のため、建物所有者が解体業者に発注し、市町が事後に払い戻しをする「自費解体」の活用も求めている。七尾市・志賀町以南では30%程度が自費解体を行っているが、奥能登4市町では1%前後にとどまり、解体業者の自力確保が極めて困難な実情が浮かんでいる。

 奥能登では豪雨災害で解体棟数のさらなる増加も必至だ。県生活環境部の担当者は「解体班の1200班への拡大を目指す。降雪期の前にしっかり進めたい」としている。【竹中拓実】

被害が大きかった市町の公費解体の実績

=10月末時点。石川県まとめ。かっこ内は、そのうちの自費解体

    解体見込み棟数  完了棟数 完了率

珠洲市  7195      2551 (9)  35.5%

輪島市  9685      1357 (20)  14.0%

能登町  2759      721 (9)  26.1%

穴水町  2451      868 (11)  35.4%

七尾市  3500      678(203)  19.4%

志賀町  4012      792(188)  19.7%

その他  2808      767(246)  27.3%

県全体  32410      7734(686)  23.9%

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