2023年度までの過去10年間、広島県内の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は“右肩上がり”となっている。2023年度は6380件で、過去最多を更新。そうした中、児童虐待対応について緊密な連携を確認するため、児童相談所と警察が合同訓練を行った。

緊迫感あふれる合同訓練

11月6日、県内にあるすべての児童相談所と警察が合同で行ったのは、緊急性の高い児童虐待事案における対応訓練だ。

訓練の様子(実母役)
この記事の画像(7枚)

実母:

私は虐待なんかしていないし、タロウはしっかり育てています。帰ってください!

児童相談所:

児童虐待防止法に基づく立ち入り調査です。

訓練の様子(男性同居人役)

同居人:

なんやお前らうっさいんじゃ!子どもには会わせんと言っとるじゃろうが!なんの権限があってこんなことしよんじゃ!とっとと帰れ!

訓練ではあるが、現場には緊迫感があふれている。

また、虐待の疑いがあるものの調査に応じない家庭に対しては、児童相談所が警察と連携して強制的に立ち入り調査を行うが、そうした状況も想定されていた。

向井記者:

強制的に職員が立ち入っています。

警察:

ダメよ!臨検・捜索妨害したら公務執行妨害になるからね。

訓練の様子(児童役)

同居人:

おいタロウ!勝手に連れていくなオイ!

訓練に参加した児童相談所と県警の担当者、およそ80人はいざというときに躊躇なく迅速に対応できるよう準備を進めることや、児童虐待対応における緊密な連携を確認した。

児童虐待はなぜ増える?

9月には、広島県福井山市の自宅で、2歳の長女に睡眠薬を飲ませ中毒状態にしたとして母親が逮捕される事件が発生した。 母親と夫は「娘が寝付かないので薬を飲ませた」と話していた。

児童虐待相談件数の推移グラフ

県内の児童相談所に寄せられた過去10年の相談件数は右肩上がりで、昨年度は「6380件」と「過去最多」を更新し続けている。

広島市児童相談所 力善安希乃所長

広島市児童相談所・力善安希乃 所長は 「少子化・核家族化がより進む中で、子育てにかかる保護者の孤立が深まっているなど様々な事柄が複雑に絡み合っていると考えられる」と説明した。

要因は様々だが、現代の社会問題が密接にかかわっているようだ。

児童虐待を防ぐには…

児童虐待、またその重篤化を防ぐために、わたしたちにできることはあるのだろうか。

広島市児童相談所 初期対応担当 松島智子担当課長

広島市児童相談所 初期対応担当課・松島智子課長は「虐待の軽いうちに児童相談所が介入することが重篤な事案を防ぐことになるのでぜひ“あれおかしいな”と思ったら児童相談所に情報提供いただければと思う」と訴える。

また、「大きな怒鳴り声や物音がする」「玄関前で子どもが怒られている」「顔見知りの子どもの表情が暗い」など、こうした身近で虐待が疑われる事案に遭遇した際には、児童相談所虐待対応ダイヤル『189(いちはやく)』に電話することで知らせることができる。通話料は無料とのことだ。

1人1人が目を光らせ、児童虐待を社会全体で減らしていく必要がある。

(テレビ新広島)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。