【北部】記録的な大雨が降り、各地で土砂崩れや住宅浸水などに見舞われた沖縄本島北部では12日も、復旧作業が続いた。大宜味村では同日午後10時までに、村内17集落のうち15集落で3日ぶりに断水が解消。国頭村比地地区では住民らが村外からの応援を受け、ぬれた家財の搬出などに当たった。(北部報道部・比嘉海人、下地広也、前田高敬)
9日に津波浄水場が床上浸水した影響で断水が続いていた大宜味村では11日、浄水場の浄化機能が回復。村が配水管に残る不衛生な水を抜く送水作業を実施し、12日早朝に津波、塩屋の集落で段階的に給水が再開した。午後10時現在、田嘉里、押川の2集落では断水が続くが、13日には全域で復旧する見通し。
比地川の氾濫で大きな被害が出た比地地区では12日、金武町と宜野座村の職員ら約30人が家財の撤去などに加わった。
県によると同日午後6時時点で、本島北部地域では床上浸水53件、床下浸水59件が確認されている。また北部4市村は同日から、罹災(りさい)証明書の申請を呼びかけている。東村では大雨被害による申請が1件あった。
氾濫対策 県に3回要請
22~24年 国頭比地川の被害地区
国頭村比地の比地川が氾濫し被害が広がった問題で、住民らが以前から事前防災の必要性を訴え、県に対して2022年から24年にかけて計3回、河川の土砂などを取り去る浚渫(しゅんせつ)工事を要請していたことが12日、分かった。比地川は県管理河川の一つで、県は24年度、6月に氾濫した安謝川などの浚渫を実施。比地川は順次対応する方針だったが、今回の被害を受け県河川課は「優先的に予算を付け、早めに着手したい」と説明した。
比地地区が村を通じて県に要請したのは22年12月と今年2月、同10月の計3回。県と北部市町村が集まる行政懇談会でも懸念を伝えていた。
比地川は周辺に雑草が生い茂り、川底に土砂が堆積。台風や大雨時は氾濫しやすい状況にあり、22年9月には集落の道路や農地で冠水し、床下浸水も発生した。大城健治区長は「要請が県に響いていなかった。人災ではないか」と憤り、知花靖国頭村長は「工事をしていたら、これほどの被害は出なかったのでは」と苦言を呈した。
県管理河川の工事には、地方債である「緊急浚渫推進事業債」などを充てる。(北部報道部・比嘉海人、政経部・平良孝陽、社会部・吉田光)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。