東京電力が初めて回収した福島第1原発2号機内で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試料が12日、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構(JAEA)の大洗研究所に搬入された。今後、成分や事故当時の炉心や核燃料の状況を調べる方針で、担当者は「廃炉関係者が求める結果を出していきたい」と語った。搬入までの間に異常やトラブルは確認されていないという。【川島一輝、信田真由美】
東京電力は7日、原発事故後、初めてデブリを取り出した。機構などによると、遮蔽(しゃへい)機能がある専用容器に入れられ、専用のトレーラーで12日午前9時半ごろ、福島第1原発を出発。約5時間後の午後2時40分ごろ、研究所に搬入した。高速実験炉「常陽」の隣にある照射燃料集合体試験施設内に移し、同日予定していた作業を終了した。
今後は、作業員が被ばくするのを防ぐため3段階に分けて遠隔で作業を進める。第1段階では遠隔操作で物質密度を測定するためにCT(コンピューター断層撮影装置)で撮影したり、電子顕微鏡を使ったりして、デブリの特徴を調べる。第2段階の個体分析では、デブリを切断して粒子の結晶状態を調べ、事故当時の核燃料や炉心の変化、デブリができるまでの過程を探る。第3段階ではデブリの構成材料や核分裂反応が連続して起こり続ける再臨界の可能性などを調べる。2025年3月に一度、分析経過をまとめる方針だ。
分析を行う大洗研究所の前田宏治氏は12日の記者会見で「これまでよくわからないと言われた燃料デブリの評価をして、廃炉につながるデータを取っていきたい」と述べた。13日に容器からデブリを取り出し、14日からCTを使って分析作業を本格化させる予定としている。
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