国内でも活発な火山の一つである浅間山(2568メートル)の噴火に備え、国土交通省利根川水系砂防事務所(群馬県渋川市)は、ドローン(無人機)やロボットを用いて、火口周辺の降灰量を計測する実験をした。噴火の危険性が高まると火口周辺の立ち入りは規制されてしまうが、ドローンやロボットを使って遠隔で調査し、土石流の発生リスクを調べて住民の適切な避難につなげる狙いがある。【田所柳子】
実験は10月30日、東京大地震研究所浅間火山観測所(長野県軽井沢町)で実施。研究者や群馬、長野両県の担当者ら約30人が参加した。
浅間山は火山活動が続いており、気象庁は2023年3月、噴火警戒レベルを「1」から火口周辺を規制する「2」に引き上げた。実験では、入山が規制されるレベル3を想定。ドローンで計測装置のロボットを火口付近の山腹に運ぶ予定だったが、この日は強風のため、運ぶ距離を短くして実験した。
ロボットは、桜島の灰を1センチの厚さに敷きつめた地面に着陸。自動でブラシを回転させて灰をどかし、固い地面を露出させて、スマートフォンで灰の厚みを撮影した。0・1ミリの誤差で計測できたという。
同事務所によると、噴火で山腹に大量の灰が積もると、少量の雨でも土石流が発生しやすくなる。このため、噴火時は早期に山腹の降灰量を調査し、危険な地域を特定して、住民が土石流に巻きこまれないよう避難につなげる必要があるが、降灰量の計測方法が課題となっていた。
ロボット計測は19年度に取り組みを開始し、公開実験は2回目。同事務所の担当者は「入手しやすいスマホを活用し、装置の軽量化で遠くまで運搬できる仕組みができた。今後はより性能を向上させつつ、実装段階に進めたい」と話す。
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