栃木県那須町の河川敷で会社役員夫妻の焼損遺体が見つかった事件で、死体損壊容疑で逮捕された平山綾拳容疑者(25)の車を使っていた2人組が、夫妻と同時間帯に立ち寄ったとみられる都内の空き家に1~2時間程度滞在していたことが27日、捜査関係者への取材で分かった。平山容疑者の逮捕から28日で1週間。警視庁・栃木県警合同捜査本部は、空き家に滞在中に2人組が夫妻に暴行を加えた可能性があるとみている。

捜査関係者によると、平山容疑者は遺体発見前日の15日午後9時半ごろ、品川区平塚のコンビニエンスストアに所有車を停車。入れ替わりで車に乗り込んだ2人組が16日午前0時ごろ、同区の空き家に入り、宝島龍太郎さん(55)と妻、幸子さん(56)に接触したとみられる。

周辺の防犯カメラ画像が捉えた車の動きから、2人組は空き家に1~2時間程度滞在していた可能性があるという。押収された車の中からは幸子さんの血痕を検出。空き家のガレージでも身元の分かっていない血痕が見つかっている。

事件の核心を知るとみられる3人の人物が浮上

宝島龍太郎さん夫妻の遺体遺棄事件を巡っては、死体損壊容疑で逮捕された平山綾拳容疑者の供述から「Aさん」と「2人組」という事件の核心を知っているとみられる3人の人物が浮上している。ただ素性についてはほとんど語られておらず、事件の全体像はまだ見えていない。

これまでの調べで、平山容疑者が宝島さんと妻の幸子さんの遺体の焼損に使われたとみられるガソリンなどを購入していたことが判明。遺体の運搬に使われた可能性のある車も平山容疑者が所有していた。

2人組は今月15日夜、品川区のコンビニエンスストアに車を止めて立ち去った平山容疑者の代わりに車に乗り込んだことが確認されている。車は16日午前0時ごろ、品川区の空き家付近に到着。同じ頃に宝島さん夫妻もこの建物に入ったとみられる。

押収された車から幸子さんの血痕

幸子さんには頭に殴られたような痕があり、事件後に押収された車からは幸子さんの血痕が検出されている。空き家近くに住む40代女性は「去年まで会社が入っていたところ。(2人組が滞在していたとみられる)時間帯は起きていたが、全く物音はせず、気が付かなかった」と話す。

事件への関与が疑われるもう1人が、平山容疑者の取調べ調書に「Aさん」と記された指示役だ。平山容疑者はAさんから多額の報酬を受け取り、犯行用具の調達や2人組との連絡などを担ったと説明している。

一方で2人組は「あだ名で呼んでいて本名は知らない」、Aさんについては「名前は言えない」と語っており、合同捜査本部は交友関係の解明を急いでいる。

中学時代はサッカー部に所属し、明るい人柄でクラスでも中心的な存在だったという平山容疑者。中学の同級生の男性が5年前に成人式で再会した際には「中学時代よりも生き生きした感じだった」。浴びるほどに酒を飲む姿が印象に残っているといい、男性は「逮捕されたと聞いてショックだった」と話した。(内田優作、前島沙紀、梅沢直史、塚脇亮太)

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