文部科学省は教員の残業時間の削減に向け、各学校の校長の人事評価に働き方改革に関する観点を導入する。教員の在校時間を自治体ごとに公表することも目指す。2025年度に制度改正する。
阿部俊子文科相が15日、報道各社のインタビューで明らかにした。阿部氏は「優れた人材を教員として確保するために、まずは学校における働き方改革が必要。校長によるマネジメントを強化し、長時間勤務を縮減するメカニズムを構築する」と述べた。
校長の人事評価は各教育委員会が担っている。具体的な評価方法は今後詰めるが、教員の在校時間や支援スタッフの配置状況などを考慮するとみられる。
文科省は教員確保策として、働き方改革の推進と人員増のほか、残業代の代わりに月給に上乗せ支給する「教職調整額」を26年から3倍超にする方針を示してきた。これに対し、財務省が残業時間削減を条件に段階的に教職調整額を引き上げる案を主張している。
文科省案に対しては、働き方改革が進むのか疑問視する声が出ており、同省は人事評価制度の見直しによって実効性をもたせたい考えだ。
学校現場の意見は割れている。全国連合小学校長会(全連小)や日本教職員組合(日教組)など教育関係の23団体は15日、文科省案の実現を求める緊急声明文を阿部氏に提出した。
全連小の植村洋司会長は「財務省の提案を受けて、日本の学校教育が崩壊するという大きな危機感を持った」と強調。声明文では財務省案を「現在の逼迫した状況を無視し、今まで以上の負担を学校や自治体に負わせるもので非現実的」と言及した。
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