顧客情報の漏洩や従業員への暴力、セクハラといった社員らの問題行動に対し、中古車販売大手ビッグモーターが、少なくとも計14件で懲戒解雇や降格などの処分をし、4月中に内部公表したことが28日、関係者への取材で分かった。

直近の事案も含まれるほか、横領などの違法性が疑われる行為もあり、近く発足する新会社でもコンプライアンス(法令順守)の徹底が課題となりそうだ。

懲戒解雇は3件。今年3〜4月、査定システムに登録された車両4台とその顧客の情報を元従業員に提供していた。また、買い取り車両に関する備品600点以上をフリーマーケットアプリのメルカリに出品・販売して約220万円を得ていた。現金で受領した販売車両代金205万円を着服して遊興費にした行為もあった。

降格などの3件は、ボールペンを従業員の耳や指に刺すといった暴行を含む。出勤停止は6件で、複数の女性スタッフへの性的発言や、女性の体を触るセクハラのほか、従業員を殴るといった暴力や、他社の従業員への暴行・脅迫が処分対象となった。

受付のスタッフに荒い口調を使い、作業場で電子たばこを吸うなどしたとする減給と、LINE(ライン)で特定の従業員を名指しして「大恥」と書き込んだ上、「ダセー」などの表現で指導したとするけん責がそれぞれ1件ずつだった。

同社は「社内の懲戒処分について回答は差し控えさせていただきます」と詳細を明かしていない。今月17〜26日、社内で処分情報を共有した。

ビッグモーターは、保険金不正請求など一連の問題噴出後、2023年7月に創業者で社長だった兼重宏行氏が辞任。店舗前の街路樹が伐採されるなどした問題は刑事事件化した。〔共同〕

ビッグモーター問題 中古車販売大手ビッグモーターが事故車両の修理時に車を故意に傷つけ、損害保険各社に請求する自動車保険の保険金額を水増ししていたことが発覚。国土交通省が道路運送車両法、金融庁が保険業法に基づき行政処分した。
店舗周辺の街路樹を伐採したなどとして、各地の警察が器物損壊事件として捜査し、警視庁は3月、創業者の長男の前副社長らを同容疑で書類送検した。伊藤忠商事などが事業買収を決め、5月1日に新会社を発足させる方向で調整している。

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