市議会議長らが、視察先でキャバクラに行っていたとして匿名で告発された問題。
議長側は、警察に被害届を出しましたが、この行動が物議を醸し、「公益通報者の特定につながる」と批判の声も上がっています。
「イット!」では22日、議長を直撃しました。
22日、「イット!」が入手したのは、神奈川県の小田原市議会に送られた告発文書と約100枚の写真です。
黒塗りにされているのは、議長を含む5人の小田原市議。
赤ちょうちんやネオンがきらめく歓楽街を歩く様子や、市議らが入店したという熟女キャバクラの看板などが写されていました。
告発文の主は、「市議会の信用を大きく失墜させる行為があったことを確認しましたので義憤に駆られ、証拠を添えて通報します」と訴えました。
告発されたのは、小田原市議会のトップを務める大川裕議長など5人の市議。
2023年7月、視察先の大阪で公務を終えた夜、3時間以上にわたり、熟女キャバクラなどを飲み歩いたと市議会に通報されたのです。
告発文が寄せられたのは、視察から2カ月がたった2023年9月。
匿名での告発でしたが、小田原市は「限られた人しか知り得ない内容が含まれている」として通報者が守られる“公益通報”として扱うことを決めました。
告発人は、大川議長らに議員辞職も迫っていて「私どもが確認した行為は市議会議員としてあってはならない恥ずべき行為であり、責任を取って辞職を表明すべきです」と記載。
これに対し議長側は、2023年12月、「告発は辞職の強要に当たる」として個人の立場で警察に被害届を提出。
2024年2月に会見を開いた大川議長は、熟女キャバクラなどについて「プライベートな時間であり、自費であり、私のお金で行っているわけですから不適切ではないと考えている」と説明しました。
一方で、議会関係者からは、被害届を提出した議長の対応について、「告発者の特定につながるものだ」と批判の声も上がっています。
匿名での告発を巡っては、兵庫県の斎藤元彦知事が、パワハラなど疑惑の告発書を特定したことが公益通報者保護法に違反する疑いがあると指摘する専門家もいます。
「イット!」は22日、大川議長本人を直撃しました。
――被害届を提出した理由は?
あくまで個人として、議会の議長もしくは議員としての対応はまた別の話。いろいろと被害があった。
――誹謗中傷も?
もちろんある。いろいろなものを送りつけられたり、そういうのはある。
――家族のために被害届?
もちろん、そういうところはある。
一方で、告発者の特定に関する質問には言葉を濁しました。
――通報者を浮かび上がらせる意図は?
なんともいえない。
――匿名通報しにくくなる懸念に対しては?
匿名通報が、どこまで信用性を持たせられるかというところ。
公益通報制度に詳しい弁護士は、次のような見方を示しています。
スパークル法律事務所・三谷革司弁護士:
被害があったということを主張しているわけだから(告発者を)特定して責任を取ってもらうというような考えでいるのかなと思う。身元を特定されることになると、(通報を)躊躇(ちゅうちょ)することになってしまう。
議長側の対応に、小田原市民からは「自分が嫌なことをされたということを、異議を唱えるじゃないが、そうする権利というのもある。(被害届提出)する分にはいいんじゃないかと思う」「被害届は行き過ぎ。(通報があったことを)『被害』と思うこと自体がちょっとずれてる」などと賛否の声が聞かれました。
警察は被害届を受理していて、現在も捜査中としています。
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