妻を殺害した罪に問われている元長野県議の丸山大輔被告の裁判。11月19日、被告人質問が行われました。夫婦関係や不倫相手の女性について、また、事件前夜の行動などの質問があり、被告は淡々と答えていました。

■初公判で被告は「無罪」主張

元長野県議会議員の丸山大輔被告(50)。2021年9月に、塩尻市の自宅兼酒蔵で妻・希美さん(当時47)の首を何らかの方法で圧迫して殺害した罪に問われています。

10月16日の初公判で、被告は「妻を殺害したのは私ではありません」と無罪を主張しました。

これまでの裁判で検察側は、不倫相手の存在や妻の実家からの借金などを理由に「妻を殺害するしかない状況で犯行動機があった」と主張。

一方、弁護側は、「事件当時は夫婦間にトラブルはなく、殺害する動機はない」と主張しています。

■夫婦の関係について

11月19日、被告人質問が行われました。

丸山被告は黒いスーツに青いネクタイを身に着けて出廷し、落ち着いた様子で弁護人からの質問に答えていました。

まず、妻との関係についての質問から始まりました。

弁護人:
「希美さんに対して、愛情とか魅力を感じていなかった?」

被告:
「性的な面に対してそういうことがあったと思う」

弁護人:
「性的な面以外では?」

被告:
「人間性がちゃんとしていて、私と違ってきちっとしていたし、頼りになる面もあるし、いろんな面で感謝していた」

弁護人:
「あなたは離婚するつもりはなかったんですか?」

被告:
「なかったです」

■浮気のことで妻とけんかは

弁護人:
「浮気を疑われて、けんかになったことは?」

被告:
「あったと思う」

弁護人:
「浮気のことでけんかしたことは?」

被告:
「ひどいのは過去2回したと覚えている」

弁護人:
「けんかの時、暴力を振るったことは?」

被告:
「私から振るうことはないんですが、けんかになる時は希美の方が一方的に詰め寄るような。私がまともに受けないから、徐々に手が出るようになった。最終的に私も半分腹が立って、半分行為を止めるために、強めに腕を握ったり、押したりしたことはある」

弁護人:
「首を絞めたことは?」

被告:
「意識的に絞めたことはない。もめている最中にあったのかな」

弁護人:
「本気で絞めたことはある?」

被告:
「本気で絞めたら大変なことになっていると思うので、それはないです」

■不倫関係の女性について

また、不倫関係の女性についての質問では―

弁護人:
「浮気がばれて離婚する気はあった?」

被告:
「なかったです」

弁護人:
「浮気がばれた後、どういう気持ちで不倫を続けていた?」

被告:
「一緒にいて楽しい。相性がいいと思いそのまま継続していた」

弁護人:
「不倫相手に『離婚の話が進んでいる』と言ったのはどうして?」

被告:
「関係が発展しなかったのできっかけになればと思って」

弁護人:
「不倫相手に『付き合っている人がいる』と言われたことは?」

被告:
「いつかあったと思います」

弁護人:
「どう思いましたか?」

被告:
「完全に手を引くか、それか押しを強めるか。どっちかしかないな、と思った」

弁護人:
「どうしましたか?」

被告:
「もう少し頑張ってみようと思いました」

弁護人:
「頑張るとはどうする?」

被告:
「彼女の気持ちを向けさせて、今までのように楽しく過ごせれば、と」

■事件前夜の行動について 

続いて、事件前夜についての質問―。

検察側は、「議員会館で同僚議員との二次会を中座して、自室に戻った後、車で塩尻市の自宅まで行って犯行に及んだ」と主張しています。

弁護人:
「二次会の途中で部屋に戻った?」

被告:
「翌日に質問が控えていたことと質問の仕上げをしなければと思い戻った」

弁護人:
「部屋に戻った後は、何をしましたか?」

被告:
「質問をやろうとしたと思います。それで資料を取り出して、準備したと思いますが」

弁護人:
「どのような準備をしたんですか?」

被告:
「覚えていません」

弁護人:
「何時頃、寝ましたか?」

被告:
「わかりません」

弁護人:
「議員会館と自宅を往復したことはありますか?」

被告:
「ありません」

■妻の遺体と対面して…

長男からの電話を受け、自宅に駆け付けた時の質問では―。

弁護人:
「妻の遺体と対面してどんなことを感じた?」

被告:
「本当に亡くなっているんだなと…」

弁護人:
「検視の結果を聞いてどのようなことを思った?」

被告:
「どうしたらそんなことになるのか。不思議だなと」

弁護人:
「希美さんはどのような思いでいたと思う?」

被告:
「子どもたちを見ていなければ死ねないと言っていたので、無念だったし、悔しい思いをしたと思う」

■事件後の子供たちの様子は…

弁護側からは、事件後の子供たちについての質問もー

弁護人:
「希美さんが亡くなって、2人の子供の様子は?」

被告:
「2人とも母を亡くしたわりには、元気でしっかり暮らせていたのでよかった」

弁護人:
「子供と接するとき、気を付けたことは?」

被告:
「なるべく一緒にいようと。断れる飲み会は断って帰ったり、出かける回数を減らすように心がけた」

■逮捕後、子供たちには…

弁護人:
「弁護士を通して、メッセージを送ったことは?」

被告:
「あります」

弁護人:
「どんな内容?」

被告:
「長男には『こんな状況だけど、父ちゃんは犯人じゃないから。自分のことを考えて進路を決めろ』、次男には『強い子だから頑張れ』と」

■事件後、不倫相手との関係について

裁判の後半には、検察側から、事件後の不倫相手との関係について質問がありました。

検察:
「どういう気持ちでLINEを送っていた?」

被告:
「はっきりとわかりませんが、アピールしている状態だったと思う」

検察:
「希美さんが亡くなったことは気にならなかった?」

被告:
「悼む気持ちはありましたが、四六時中考えていたわけではなかった」

検察:
「事件後、不倫相手とはどうなりたかった?」

被告:
「恋愛関係に戻れればよかった」

検察:
「事件後も不倫相手に対する恋愛感情や肉体関係を結びたい気持ちは?」

被告:
「ありましたよ」

検察:
「今は?」

被告:
「ないと思います」

被告は淡々と質問に答えていましたが、妻の遺体と対面した時の話などでは、言葉に詰まる場面もありました。

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