コロナ禍が明け、成田空港に乗り入れる航空機が増加する中、機内での窃盗事件が多発している。成田国際空港署は今年、10月末までに前年同期の7件を上回る19件の被害届を受理。いずれも財布から現金を抜き取る手口だが、巧妙に別の紙幣を差し込むため被害に気付くまでに時間がかかっているという。旅客が増加する年末年始を前に、警戒を強めている。【合田月美】
途上国紙幣入れ発覚遅らす
同署によると、被害者の多くは日本人旅客で男性が約6割。いずれも座席上部の棚にしまったかばんの中から、財布内の日本円や米ドルの紙幣を盗まれた。眠っている間に盗まれたとみられる。発覚を遅らせるためか、発展途上国の紙幣とすり替えられており、中には207万円の被害に遭った男性も。路線はアジアから北米までさまざまで、被害の相談も20件に上っている。コロナ禍前の2019年同期は被害届26件、相談1件だった。
被害を食い止めるため、同署は成田国際空港会社や航空会社に協力を要請。22日には日本航空グループの「ZIPAIR(ジップエア)」と連携し、第1ターミナルの出発エリアで防犯キャンペーンを繰り広げた。
いずれも同社客室乗務員兼グランドスタッフの三谷日登美さん(31)と大橋彩乃さん(27)が「一日警察署長」として、これから搭乗する旅客らに漫画のチラシなどを手渡し、注意を呼びかけた。元漫画家の警察官が描いたもので、トイレで席を空ける時も貴重品を手放さないよう、4カ国語の吹き出しで注意を促した。
また、同署刑事生活安全課の国井勲穂課長ら署員が「貴重品は手放さず、携行してください。座席前のポケットや棚には入れないで」などと拡声器を使って呼びかけ、チラシ200枚を配った。
空港会社によると、24年度上半期の航空機発着回数は12万2000回で、前年度比116%、コロナ禍前の19年度比でも90%まで回復。旅客数も前年度比1・2倍の1992万人と19年度比88%まで戻っている。特に国際線の外国人旅客は19年度比117%(1079万人)と増加している。
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