いずれやってくるかもしれない親の介護。仕事との両立をどう図ればよいのだろうか。認知症の場合の特徴を含めて、企業の両立支援に詳しいSOMPOリスクマネジメントの泉泰子シニアコンサルタントに聞いた。
介護と仕事の両立について社内で研修をするなら、介護を始めていない年代を対象にして、介護保険制度などの基礎知識を持ってもらうことが大事だ。
公的介護保険制度が導入された2000年当時は、身体介護への対応が手厚く、比較的身の回りのことが自分でできる認知症の人には使いづらい仕組みになっていた。今も、自分で食事ができる、トイレに行けるなど身体状況に大きな問題がなくても、火の始末が難しいなど日常の状況を家族がきちんと伝えないと「要介護認定」が低く出て、必要なサービスを正しく判定してもらえない可能性がある。こうした点を理解して、介護保険をうまく使えるようにする必要がある。
育児・介護休業法は、最長93日の介護休業を取得できるよう定めている。育児休業と異なり、介護に専念するための休みというより、仕事と介護を両立する体制を作る期間と捉える必要がある。3分割取得が可能であり、例えば最初の1カ月で、デイサービスなど利用するサービスを決め、家族が同行して慣れるようにするとスムーズにプロの介護を開始できる。いったん仕事に復帰して様子を見て、介護状態の変化に合わせ2回目、3回目を取るということも可能だ。
かなり高齢の方の介護は、家族であっても専門知識がなければ難しい。プロに任せることが大事で、たとえ遠距離介護であってもプロと介護体制を組めば対応は可能だと思う。企業は介護している従業員に対しては、介護保険で足りない部分のフォローをして両立を支えてほしい。【聞き手・堀井恵里子】
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