長泥地区の新米を使ったランチプレートを提供する福島大の学生=福島県飯舘村長泥の長泥コミュニティーセンターで2024年11月26日、尾崎修二撮影

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となり、昨年に一部で避難指示が解除された福島県飯舘村長泥地区で26日、同地区で栽培され初めて試食できるようになったコメを使ったカレーのランチプレートが振る舞われた。

 福島大の大黒太郎准教授のゼミ生らが企画した。ゼミ生は村民有志らと2021年から村役場隣で「いいたて村の村民食堂」を月1回ペースで営業し、長泥でも交流を重ねてきた。

 同地区のうち186ヘクタールが特定復興再生拠点区域(復興拠点)に設定され、昨年5月に避難指示が解かれた。再建した自宅に避難先から通う住民はいるが、居住者数は依然ゼロだ。復興拠点内の農地では村や県が試験的な栽培を進め、24年は村が水田計1400平方メートルで実証栽培に取り組んだ。収穫米の全量検査で安全性が確認された。

 この日は学生らが作った飯舘牛のスパイスカレーや村民手製の漬物をたっぷりのせたランチプレートが限定20食で振る舞われた。ランチ目当てに福島市や川俣町から長泥に初めて訪れた人もいた。区長の高橋正弘さん(63)=南相馬市に避難=は「足を運んでくれてありがたい」と話し、大黒准教授は「小さな規模でもこうした場を企画し続けたい」と語った。

 今後、県は村や国と協議し、復興拠点内の水田について全量全袋検査をしたうえで出荷できる区域とするかを協議する。【尾崎修二】

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