警察庁は、「闇バイト」が絡んだ強盗などへの対策として、容疑者から押収したスマートフォンの解析や分析機能を強化する方針を決めた。「ホワイト案件」などを検索した人に注意喚起する「ターゲティング広告」も導入する。政府が29日に閣議決定した補正予算案に約6億5600万円を計上した。
警察は、「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」が、犯罪を実行する若者らを闇バイトで集めているとみている。トクリュウによる事件は組織的な強盗や窃盗のほか、特殊詐欺、リフォーム詐欺など多岐にわたるのが特徴という。
捜査では、容疑者のスマホを解析して得られた識別情報やアカウント名、通信履歴などを分析端末に登録。容疑者らが、どの指示役とつながっているのかについて、さまざまな事件を横断する形で図表にして可視化している。
今回は、一連の解析などに使うソフトウエアを高度化して分析の円滑化を図る。指示役の特定につなげるのが狙いで、この対策に約5億6100万円を計上した。
また、闇バイトに応募しないようにするための注意喚起も強化する。インターネットで「高額バイト」「即日即金」などと検索すると、犯罪に加担しないよう呼びかける広告が表示される対策をとる。
これは、閲覧履歴などを分析して効果的に広告を表示する「ターゲティング広告」と呼ばれる手法で、対象は複数のSNS(ネット交流サービス)などを検討しているという。
被害の未然防止策も進める。警察庁が委託する専用のコールセンターを設け、特殊詐欺などの事件で犯罪グループから押収した名簿に掲載されている人に電話をかけて注意を促す。広告表示と電話による注意喚起で計約9500万円を計上しており、来年1月の実施を目指す。【山崎征克】
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