「あいりん総合センター」での野宿者らに対する強制執行が着手され、荷物を撤去する作業員ら(1日、大阪市西成区のあいりん地区)=共同

大阪市西成区のあいりん地区にある複合施設「あいりん総合センター」=2019年閉鎖=の敷地で生活している野宿者らに対し、大阪地裁は1日、退去させ荷物などを撤去する強制執行に着手した。

5月には野宿者らに立ち退きを命じる判決が確定していた。大阪府や大阪市は耐震性を理由に建て替えを目指しており、占拠の影響で遅れていた解体工事が進む見通しだ。

午前7時ごろ、センター付近に重機が次々と到着。作業員らがバリケードを設置し、大阪府警の警察官も警戒に当たった。

センターは1970年に開設。13階建てで職業安定所や市営住宅、病院などがあり、労働者らの生活拠点だった。耐震性に問題があるとして、19年4月に閉鎖。建て替えに反対するホームレスの野宿が続いた。市営住宅と病院は近くに移転。労働施設については、24年度までに建て替え工事を完了する予定だった。

府は20年、立ち退きを求めて大阪地裁に提訴。野宿者側は権利の乱用だと主張した。21年12月の一審大阪地裁判決は、行政が野宿者の居場所の確保など「一定の配慮をしている」として、権利乱用には当たらないと判断。22年12月の二審大阪高裁判決も支持した。24年5月、最高裁は野宿者側の上告を退けた。〔共同〕

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