建設が進む大阪・関西万博の会場=大阪市此花区で2024年3月11日、久田宏撮影

 2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は2日、会場建設費の予備費130億円のうち、半分に近い約62億円を使う案を明らかにした。パビリオン関連で区画や建物の用途変更や、メタンガスの爆発事故を受けた安全対策として、計約87億円の追加費用が生じるため。予備費は災害など不測の事態に備えて確保していたもので、執行は初めて。協会は、2度の増額を経て最大2350億円に膨らんだ会場建設費の範囲内には収まる見通しを示した。

 2日に大阪府庁で開かれた、府と大阪市の大阪・関西万博推進本部の会議で明らかにした。府と市は了承し、協会は今月下旬の理事会で正式決定する。

 協会によると、海外パビリオンの用途変更で約57億円を見込む。参加国が独自に建設する「タイプA」の整備が遅れ、協会が建設を代行する簡易型の「タイプX」を整備。9棟を建てたが、Xへの移行は5カ国にとどまり、Aの空き区画と合わせて休憩所などに転用する。

 会場の夢洲(大阪市此花区)で3月に発生したメタンガスの爆発事故を受けた安全対策として、ハード整備に約30億円を計上。機械換気設備やガスの検知器などを設置する。

 一方で、資材費の上昇が当初想定よりも緩やかになり工事費が約65億円縮小し、発注内容の見直しなどでコストの削減効果もあり、他の追加費用を差し引いて約25億円を捻出。不足する約62億円を予備費から出すことになった。

 予備費は残り68億円になるが、風水害や想定を超えた価格上昇などが生じても、工事が7割ほど進み、会場建設費にかかる契約率も9割に達していることを理由に、総額の2350億円を超えないと説明した。

 大阪府の吉村洋文知事は報道陣に「メタンガス対策は、万博を安全・安心に実行するために必要な費用だ。休憩所の確保も適切だ」と、予備費の執行を認めた。【東久保逸夫】

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