大阪公立大学医学部付属病院で起きた医療事故をめぐり、業務上過失致傷の疑いで書類送検された麻酔科医と看護師ら4人を、大阪地方検察庁が、不起訴処分としたことが分かりました。
患者の遺族は、不起訴処分は不当として検察審査会に申し立てを行う方針です。
■医療事故で意識戻らないまま男性患者が死亡
2019年、大阪公立大学医学部付属病院で、手首の骨折手術を受けた男性患者(当時79歳)が、手術後に容態が急変し、意識不明となりました。
病院の医療事故調査報告書などによると、男性が手術後にカテーテルを抜こうとするなどしたため、医師が鎮静剤を投与。
その量は普段使用しないほど多い量でしたが、看護師に投与量やリスクが伝えられず、経過観察が行われませんでした。
男性は鎮静剤の投与後、一時、心肺が停止しましたが、看護師は、心拍数を計測する機械を接続しなかったため発見が遅れ、低酸素脳症で意識不明となりました。
男性は、その後も意識が戻ることがないまま去年、肺炎で亡くなりました。
■事故から3年後に病院は謝罪 2年の捜査を経て業務上過失致傷容疑で4人を書類送検するも不起訴処分
病院は、事故からおよそ3年後に会見を開き謝罪。
大阪府警は、2年の捜査を経て10月24日、鎮静剤を投与した麻酔科医と、術後の処置をした看護師3人を業務上過失致傷の容疑で書類送検しました。
しかし、大阪地方検察庁は、12月2日、4人を嫌疑不十分で不起訴処分としたことが、遺族などへの取材で分かりました。
【男性の長男】「『申し訳ないけども不起訴や』と、『証拠不十分』ということで、『我慢してくれ』と(検察官に)言われました。医療事故はあったもん負けですね。(病院が事故を)認めてるのに、不起訴いうことは。僕があまりにも無力で『ごめんな、お父ちゃん』いう感じで、仏壇に手を合わせました」
検察は、遺族などに対し、「計測機器が接続されていなかったため、心停止までの記録がないことが立証の妨げになった」と説明したということです。
■「公訴時効ぎりぎりのタイミングになっているのは、ちょっと不思議」
遺族は、不起訴処分を不当として、週内にも検察審会に不服申立てを行う方針ですが、12月18日までに結果が出なければ、公訴の時効を迎えます。
【遺族代理人 酒井孝浩弁護士】「2年間も捜査しているんだから、もっと早いタイミングで書類送検も、不起訴の処分もできたと思います。こんな(公訴時効)ぎりぎりのタイミングになっているのは、ちょっと不思議」
この医療事故をめぐっては、遺族が病院に対し、およそ1億5000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しています。
(関西テレビ「newsランナー」2024年12月2日放送)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。