「高額療養費制度」をめぐり、利用者負担の限度額を引き上げた場合、加入者1人当たりの保険料負担がどれだけ軽減されるか試算が示されました。
「高額療養費制度」は、治療が高額になった場合、利用する患者の負担を減らすため1カ月の医療費が上限額を超えるとその分が払い戻されるものです。
年齢や所得に応じて上限額が異なり、70歳未満は年収別に、3万5400円から25万2600円程度の5つに区分されています。
医療費が増える中で厚労省は現役世代の加入者の負担を軽減しようと、利用する患者の負担を増やすことを検討していて、5日、試算を示しました。
試算では2015年から2023年にかけて消費者物価指数や世帯収入が上昇したことなどが考慮され、住民税非課税の区分をのぞいて所得区分の細分化をした上で、利用する患者の負担を一律で5%から15%引き上げた5つのパターンが示されました。
最も大きい15%引き上げた場合では、加入者1人当たりの保険料負担は後期高齢者では年間1200円、現役世代では年間5600円減るとしています。
後期高齢者の医療保険制度は、現役世代からの支援金や公費で多く支えられていて、後期高齢者の保険料の負担が少ないため、軽減額も少ないということです。
また最も小さい5%引き上げた場合では加入者1人当たり年間600円から3500円、負担軽減になるということです。
これらの試算に対し、審議会に出席した委員からは、「一律の引上げにより、低所得者への過度な負担にならないよう引上げ幅の設定には留意する必要がある」などの意見が出ました。
厚労省は、これらの意見を踏まえ、年内にも具体的な対応策を決めたい考えです。
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