養護教諭のLGBTQに関する意識などを調査した日高庸晴・宝塚大教授=東京都新宿区で2024年12月5日午後5時45分、藤沢美由紀撮影

 LGBTQなど性的少数者の支援に取り組むNPO法人「プライドハウス東京」は5日、養護教諭を対象に性的少数者に関する意識や当事者の子どもに接した経験などを尋ねた調査結果を発表した。近年、男女別に決められた制服を見直す動きが各地で起きつつあるが、8割以上の養護教諭が男女別の制服に問題を感じていることが明らかになった。

 調査は日高庸晴・宝塚大教授(社会疫学)に委託して1~3月に実施。教員の研究団体などを通じて小学校から高校まで9自治体の養護教諭に呼び掛け、2172人から有効回答を得た。

組織内での情報共有

 トランスジェンダーの子どもにとって、男女別に決められた制服は学校生活上の困難となりやすい。制服への考えを尋ねたところ、「性別ごとにアイテムが決められている従来型の制服で問題はないと思う」という問いに、85%が「そう思わない」と回答。96%が「スラックス、スカート、ネクタイ、リボンなど、いずれの組み合わせもOKとする選択制の制服がいいと思う」と答えた。

 性的少数者の子どもと関わった経験のある養護教諭に組織内での情報共有について尋ねた質問では、相談を受けた際に約9割が他の教師らと情報共有をしたと答えたが、そのうち子ども本人の承諾を得ていた割合は約半数にとどまった。性的指向や性自認を同意なく他者に伝えることは「アウティング」と呼ばれ、本来は本人の承諾を得ることが求められる。

 性的少数者に関する知識については、9割以上が「同性愛は精神的な病気だと思わない」とするなど、基本的な知識は浸透していた。一方で、自ら変えられないとされる性的指向について、約4割が「同性愛者になるか異性愛者になるか、本人の希望によって選択できると思う」と答え、誤解も一定程度あった。

 日高教授は組織内での情報共有について、「学校には本人の意向を聞かずに情報共有をするような文化があると思う。本人に丁寧に説明して意向を確認することが大事と分かってほしい」と指摘。その上で「学校の中に当事者がいる前提で、保健室にとどまらず学校全体で取り組むべきだ」と話した。【藤沢美由紀】

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