警視庁大崎署に入る佐々木光容疑者=29日午後、東京都品川区(松井英幸撮影)

栃木県那須町の河川敷で会社役員の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)の遺体が見つかった事件で、警視庁・栃木県警合同捜査本部は29日、死体損壊の疑いで住所、職業不詳の佐々木光容疑者(28)を逮捕した。捜査本部は佐々木容疑者が事件の指示役とみており、捜査は新たな局面を迎えた。一方で、佐々木容疑者と宝島さんの間に接点は確認されず、夫妻が亡くなった経緯などはまだ明らかになっていない。

事件をめぐっては、最初に逮捕された平山綾拳容疑者のほかに3人の人物が関与しているとみられる。平山容疑者の車に乗り込み、宝島さん夫妻の暴行や遺体の運搬に関与したとされる「2人組」。そして、平山容疑者に指示を下したとみられ、調書に「Aさん」と記された指示役だ。

捜査本部の追及に、平山容疑者は「名前を言えない」と供述。その素性は明らかではなかった。平山容疑者が所持していたとみられる携帯電話も「指示役にとられた」として行方が分からず、捜査は容疑者の供述だけが頼りという状況が続いた。

指示役につながる一筋の線となったのが、遺体が発見される数時間前の平山容疑者の動きだ。平山容疑者は16日午前3時半ごろに東京都品川区の居酒屋で指示役と会ったと供述。店内の防犯カメラには、男が入店し、約5分後に平山容疑者とともに退店する様子が捉えられていた。店を出た平山容疑者は男から一歩引いて歩いていた。

この防犯カメラに写っていた男が佐々木容疑者だった。捜査本部は防犯カメラの捜査から佐々木容疑者が沖縄県にいることを突き止め、28日午後、那覇空港の旅客ターミナル内で佐々木容疑者を発見。すでに飛行機のチケットを購入しており、国内の別の場所に逃げようとしていたとみられる。

大型連休で混雑する那覇空港内で捜査員に呼び止められた佐々木容疑者は上下黒のスエット姿で、一見すると旅行者のような姿だったという。抵抗することもなく、空港近くの警察署へ移送された。

今後の捜査の焦点は指示役とみられる佐々木容疑者と宝島さん夫妻の関係の究明だ。捜査本部はほかにも複数人が関わっているとみて捜査を進める。

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