2024年の年末から25年の年始にかけて旅行に出かけると予想される人の数は前年並み――。
旅行大手JTBが5日発表した年末年始の旅行動向見通しによると、12月23日から1月3日までに1泊以上の旅行に出かける人は2852万人で前年の0・2％増の予想。総消費額は1兆3460億円で前年比6・3％増の見通しという。
国内旅行者は前年と同じ2800万人の見通し。物価高や円安などによる先行きへの不安が影響しているとみられる。新型コロナウイルス感染症にからむ制約がなくなって2年目の冬となり、JTBは「今年は（旅行に出たいという）意欲も一巡した」と分析している。
一方、海外旅行に出る人は前年比13・0％増の52万人の予想。人によっては12月28日の土曜日から1月5日の日曜日まで9連休となるため、移動などにゆっくりと時間を取れることが影響しているようだ。
各種経済指標や業界動向、アンケート調査などを加味して推計した。アンケート調査は11月12日から4日間、インターネットを通じて1万人を対象に実施した。「たぶん行く」を含め年末年始の旅行に前向きな意向を示した人（全体の18・6％）から抽出した1764人から詳細な項目について回答を得た。
国内旅行の日数は「1泊2日」が29・9％と最多だが、休みの日並びの良さからか「2泊3日」（28・2％）と「3泊4日」（19・3％）が前年より上昇した。同行者は「家族連れ」が53・4％で最多。平均費用は1人あたり4万3000円で前年比4・9％増。総消費額も同じく前年比4・9％増の1兆2040億円の見通し。
出発日は「12月22日以前」（19・4％）▽「28日」（12・0％）▽「31日」（10・7％）の順に多く、混雑を避けて分散する様子がうかがえる。
訪問先として気になっている場所を複数回答方式で訪ねたところ、「自然の景色が楽しめる場所（国立公園や花畑など）」が19・3％で最多だった。
海外旅行の平均費用は1人あたり27万3000円で前年比6.6％増。総消費額は1420億円で前年より20.6％増の予想。円安で渡航先の宿泊費などが割高になっていることなどが影響しているとみられる。
目的地は日本に近い韓国が1位、台湾が2位。ヨーロッパ、ハワイが3、4位だった。
オーバーツーリズムへの対応として工夫していることについて複数回答で尋ねたところ、「早めに予約する」（31・0％）▽「繁忙期を避ける」（19・1％）▽「混雑が少ないと予想される旅行先を選ぶ」（16・4）などの回答があった。
JTBの広報担当者は「円安や物価高の割には旅に出る人が増えています。出発時期の分散や日程の調節などで費用を抑える工夫がみられるようです」と話していた。【山崎明子】
鄭重声明：本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。
