見たい景色 詰まってる
千葉県内の観光客数は近年、右肩上がりだ。県の「令和5(2023)年観光入込調査」によると、同年の観光客数は前年から19・4%、約2600万人(速報値)増の延べ約1億6400万人だった。多くの人が来たくなるのはなぜか。SNS(ネット交流サービス)で「ちばすきお」と名乗り、千葉の魅力を発信している上田徹さん(36)に聞いた。【近森歌音】
――SNSで千葉の穴場スポットを紹介する活動のきっかけは。
◆元々、旅行が好きで47都道府県を制覇しました。そうしたら、遠出せずとも県内に似た景色があることに気付いて、地元をもっと深掘りしてみようと思ったんです。県内の景色や穴場観光地の写真を撮るようになりましたが、自分だけが見るのはもったいないなと思い、21年4月からインスタグラムに投稿するようになりました。
――投稿しているのは主に観光地ですか?
◆風景や観光施設です。トンネルやオブジェなどの「映えスポット」が多いですね。秘境が好きなので、有名な観光地ではなく、口コミがついていないような場所を紹介することが多いです。
――秘境はどのように見つけているのですか?
◆地図で気になった場所に行ってみたり、出掛けた際に見つけた知らない道を探検したりしています。まだまだ行きたいところが多く、ネタは尽きないです。
――おすすめスポットはありますか。
◆館山市の那古(なご)桟橋です。きれいな夕日が見えますが、地元の人しか知らず、訪れる人は少ないです。施設なら「クルックフィールズ」(木更津市)です。アート作品や動物のふれあい体験、カフェなどがあり、遠方に行った気分になります。また、市原や茂原市には基本的に手で掘られた「素掘りトンネル」が多く、むき出しになっている土壁に地層が見えて歴史を感じることができます。「当時、どうやって掘ったんだろう」と想像しながら見てほしいです。
――ずばり、千葉の魅力は?
◆見たい景色が詰まっているところです。海もあり富士山も見えますし、食材も豊富で一つの「国」みたいだと思っています。県内には東京ディズニーリゾート以外、「千葉と言えばここだ」という観光地が思いつかない人もいるかもしれませんが、ほどよいスポットがたくさんあって、「おなかいっぱい」にならず帰れます。良い意味で「80点」ぐらいの場所が多く、1週間後にまた来たいと思えるんです。
――なぜ、発信を続けるのですか?
◆県民こそ、千葉についてあまり知らないと思っているからです。自虐的に「千葉には何もないよ」と言う人がいるので、まず県民に「こんなに良いところなんだよ」と知ってもらえたらと思っています。
上田徹(うえだ・とおる)さん
船橋市出身。2023年8月にアパレル会社を退社し、同9月、富津市にカフェ「NON」をオープン。インスタグラムのフォロワーは1万7000人に上り、テレビやラジオに出演して千葉の魅力を語っている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。