2024年の「ユーキャン新語・流行語大賞」で、年間大賞に「ふてほど」が選ばれた。阿部サダヲさん主演の連続ドラマ「不適切にもほどがある!」(今年1~3月放送)の略称だが、12月2日の発表後には「聞いたことがない」という声がSNS(ネット交流サービス)上で相次いだ。実際、「Z世代」と呼ばれる若者の間では、違う言葉が人気を集めているようだ。
「自分たちでは言ったことがないんですけど」。「ふてほど」というドラマの略称について、流行語大賞の授賞式で阿部さんが、賞は「光栄」と言いつつ、こう漏らすと、会場から笑いが起きた。
このドラマは、昭和から令和にタイムスリップした主人公が、昔の価値観で行動して周りを困らせるが、コンプライアンスに縛られた現代の人々に考えるきっかけを与えるというコメディーだ。授賞式の模様を伝えた動画やニュースサイトのコメント欄などで、「好きなドラマだけど、もっと他に(流行語が)あるだろう」「(略称は)聞いたことない」というコメントが相次いだ。
マーケティング会社のビーウェル(大阪市)は、大学生603人を対象に、流行語大賞に選出されたトップテンの言葉の中から「Z世代」の流行語を調査した。
その結果、SNSや友人との会話で使う「界隈(かいわい)」▽動画サイトで人気のCreepy Nuts(クリーピーナッツ)の楽曲「Bling―Bang―Bang―Born」▽ネットフリックスのドラマ「地面師たち」のせりふ「もうええでしょう」――が、ベスト3に入った。いずれもSNSや動画サイトが発信源で、「友人との会話でも使った」という意見が多かった。
一方、この調査では流行語大賞にノミネートされた言葉が、実際に流行していたかを問う質問もあり、「ふてほど」は91%が「あまり流行していなかった」と答えた。
パリ・オリンピックで銅メダルを獲得した総合馬術団体の「初老ジャパン」や、陸上女子やり投げで金メダルに輝いた北口榛花選手の「名言が残せなかった」も、「あまり流行していなかった」の回答が9割を超えた。テレビで放送されて話題となった言葉は知名度が低かった模様だ。
ビーウェルの担当者は「学生は友人との会話で自然に使う言葉を流行語と捉えており、テレビで見たから、という回答はあまりなかった。また、『界隈』はごく自然に使うほど浸透しており、流行語大賞で取り上げられて『今さら?』という反応もあった」と説明している。【加藤美穂子】
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