関西で特殊詐欺による高額の被害が相次いでいます。

大阪府警は、70代の男性が経済アナリストの森永卓郎さんになりすました人物から現金1億1000万円を騙しとられたと発表しました。

さらに、70代の女性がいわゆる「ロマンス詐欺」で現金1億1000万円以上を騙しとられる被害も発生したということです。

■「森永卓郎さん」名乗る人物に…

警察によると、兵庫県内に住む会社役員の男性(70代)は去年12月、「経済アナリストの森永卓郎さんに投資のアドバイスをもらえる」という広告をインターネットで見つけ、アクセスしました。

そこからの手口は次のようなものです。

▼SNSで森永さんを名乗るアカウントと繋がり、グループチャットに誘導される。
▼男性は、アカウントの顔写真が森永氏だったことなどから信じてしまう。
▼グループチャットに「伊藤結奈(いとう・ゆいな)」という森永氏のアシスタントを名乗る人物が登場。
▼「伊藤」は、「森永先生いわく、金(きん)の市場の相場価格が一番上がるのが2月なので今始めると利益が出ます。この投資は儲かりすぎるので誰にも言わないでください」などと伝えてくる。
▼男性は指定された口座に400万円を振り込む。
▼さらに、「伊藤」らは、偽の投資サイトを用意していて、それを男性に案内。
▼そのサイトでは、利益が出ているような表示がされたため、男性はそれを信じ込んで投資を続け、去年12月からことし2月にかけて9回にわたり、現金計1億1000万円を振り込み。
▼男性は、最初の振り込みから3カ月ほどが経った頃、「伊藤」から「金はこれから儲からなくなる。原油に関する投資が儲かる」と言われる。
▼男性は原油の投資は儲からないという知識があったため、違和感を覚え、警察に届け出た。

■「ハニー」と呼ばれ…「ロマンス詐欺」で約1億1150万円の被害

また、大阪府に住む自営業の70代の女性は、恋愛感情を抱かせ現金をだまし取る「ロマンス詐欺」で約1億1150万円をだまし取られる被害に遭いました。

警察によると、手口は以下のようなものです。

▼ことし7月、SNSで「目黒区居住、一級建築士」を名乗る「A」というアカウントから女性にメッセージが届き、やり取りをするように。
▼「A」は次第に、女性のことを「ハニー」と呼ぶように。
▼「A」との関係を深めたいと思った女性は、金への投資を勧める誘いに応じ、少額で始めることにする。
▼「A」の指示通りに女性が15万円を振り込んだところ、17万円が返金されたことから、女性は利益が出ると信じ込む。
▼7月~11月までの5カ月間で、12回にわたり現金計1億1150万円ほどを振り込む。
▼ただ、このうち、5000万円ほどが手数料の名目だったことで、女性は不信感を抱き、友人に相談したことで、詐欺だと気付く。

■ことしに入って急増「SNS型」投資詐欺

警察庁によると、こうしたSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺はことし1月から10月に8495件起きていて、これは去年の同時期よりも5600件以上も増加していることになります。

被害額も約1059億円と前年の同時期の3倍以上の金額になっています。

こうしたSNSを通じた詐欺について、警察は「著名人が無料で投資教室を開催したり、確実に利益が出る投資話を無料で教えたりすることは基本的にありません」、「実際に会ったことのない人からお金の話をされたら要注意」などと注意を呼び掛けています。

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