[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1349)

 日本財団が2020年に「人生の最後をどのような場所でどのように迎えたいか」について全国調査を実施しました。みとる側(子世代)とみとられる側(親世代)双方の考えや思いと、その背景にある価値観を把握することが目的です。

 その結果で私が注目したのは次の2点です。(1)「人生の最期を迎えたい場所」で一番望ましいのは「自宅」(58・8%)で、その理由は「自分らしくいられる」(2)人生の最期は「治療して延命」より、無理に治療をせずに体を楽にさせることを優先したい-と望む人が9割だったこと。

 しかし実際には、生命に危機が迫った方の約70%は意思決定ができないため、希望を伝えることが困難であるといわれています。

 人生の最終段階において、家族に自分の思い(人生観)をどう伝えたらよいのか。

 そのお手伝いができるように県医師会は、老いていく過程で介護などが必要になったとき、自分で自分のことを決めるのが難しくなった(意思決定できなくなった)ときを想定して、どうしたら自分らしくいられるか、どう伝えるかをまとめたパンフレット「命(ぬち)しるべ」を作りました。

 具体的な内容は、主人公の76歳の女性(えみさん)が夫を75歳(前年)で亡くし、1人暮らしをしているところから始まります。92歳で天寿を全うするまでの物語で、例えばデイサービスや訪問介護、訪問看護、みとりなどが必要になったときにどこに相談するのか、子どもや知人たちに自分の思いをどう伝えるか、家族としてどう受け止め、寄り添うのかなどが詳しく書かれています。

 医師や看護師、ケアマネジャー、医療ソーシャルワーカーら専門家が作成に関わっています。パンフレットの最後には、地域の包括支援センターの連絡先や情報を共有するためのシート「わたしの今の希望」もあります。

 一度ネット検索して目を通してみてください。今後の指標になると思います。(奥間裕次・おくまクリニック=金武町)

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