群馬県桐生市が生活保護費を分割支給した上で全額支払わなかったとして、男性3人が市を相手取り計約85万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が13日、前橋地裁(神野律子裁判長)であった。分割支給について、市が「同意を得た」と主張するのに対し、原告側は「殺虫剤の購入にも写真を求められた」として、同意がなかったと反論した。
この訴訟で、原告の一人である60代の男性は、1日1000円の分割支給により、月額7万1460円の生活保護費のうち3万数千円しか受給できなかったのは違法などとして賠償を求めている。これに対し、市は「支払うための条件は課しておらず、金額について合意が取れていた」などと主張し、請求棄却を求めている。
この日の弁論で、原告側は2023年8月中旬ごろ、殺虫剤を購入するために追加の支給を希望したが、職員に「殺虫剤の値段を知りたいので、缶の写真を撮ってきて見せなさい」と求められたと主張。男性が「店頭の商品の写真を勝手に撮れない」と断ると、追加の支給は受けられず「殺虫剤は買えなかった」という。
原告代理人の斎藤匠弁護士は「仮に市と男性の間に同意があればこのようなことにはならない。市が1日1000円を超える生活保護費を支給しないとしていたことを推認させる事実だ」と指摘した。
次回弁論は2025年2月28日の予定。【加藤栄】
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